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受講後インタビュー:小学校教員 青野 遼さん

お話を伺うのは、小学校の先生をされている「あおのり」こと、青野 遼さんです。心理的安全性アンバサダー認定ワークショップの受講後インタビューに答えていただきました。

心理的安全性アンバサダーのワークショップを受講された感想を教えていただけますか?

普段のコミュニケーションの中で意識できることが増えました。意識していることの一つに Yes, And の考え方があります。相手から話しかけられた時に、一旦受け止めてから、自分の考えや意見を伝えるようになったと感じています。
今までは自分が正しいと思っていることを良かれと思って、相手に伝えていたように感じます。小学校の現場では年度が変わる時に先生の入れ替えがあります。先にこの職場にいる者として、新たに赴任した先生たちの心理的なハードルを下げるために、自分からコミュニケーションを取らなければいけない、と心のどこかで思っていました。でも中には自分からコミュニケーションを取りたい人もいますよね。もしかしたら私が必要以上に関わることで、そうした人の気持ちや考えに蓋をしてしまっていたのかもしれません。
このワークショップで Yes, And の考え方を学んで、相手がコミュニケーションを取ろうとしてくれた時に、それを受け取れるよう、心を開いておくことの大切さに気付くことができました。良い意味で「待ちの姿勢」でいられるようになりましたね。

あおのりの中で、このワークショップの学びが大きな影響を与えているように感じました。実際、あおのりのコミュニケーションが変化したことで、あおのりと接する人にも変化があったのではないでしょうか?

何かが劇的に変化するわけではありませんが、少しずつ周囲のコミュニケーションも変化しているように感じます。同僚性が高まって、職員室の雰囲気がより良い方向へ変化していると思います。
私が相手を待つスタンスになったことで、授業や子どもたちとの関係性について相談してもらうことが増えました。職員同士の中でも雑談・相談が自然と増えていった感覚があります。
みんなが子どもたちの学びや成長のために、学校を作って行こうという思いを持って、仕事に取り組むことができていると思います。

あおのりが Yes, And を意識したコミュニケーションに変化したことで、職場の中に心理的安全性が生まれたんですね。
“子どもたちの学びや成長”という根底にある大切な価値観を共有して、共通の目的に向かってみんなで走っている感じがします。

そうですね。また小学校では年に一度、いろんな先生方に授業をみてもらう公開授業というものがあります。他の学校の先生に授業を見ていただくのはもちろんですが、今の私たちの職場にある良い雰囲気も感じてほしいと思いました。そこで、私たちが行った公開授業の振り返りをするところも見てもらったんです。
その後、参加された先生方にも、「同僚性を高めるために何が必要か?」、「明日からどんなことができるか?」ということについて、ディスカッションしていただく時間を設けました。
トップダウンではなく、現場の先生たちから意見が出て、ボトムアップでさらに良い方向へ向かっている姿を見てもらうことができたと思います。そして「先生同士の関係性や職員室の雰囲気が良くなれば、最終的には子どもたちにも良い影響を与えていく」という考えに共感していただけたと思っています。

参加された先生たちも職員室の雰囲気や同僚性について考えるきっかけになったと思います。
今回、あおのりがこのワークショップを受講しようと思われたきっかけについても教えていただけますか?

体験会を申し込む前に、前年度、一緒にお仕事をしていた校長先生から、「校内の研修や公開授業の設計などを任せたい」というお話がありました。まずは現場の先生方を繋いでいくこと、また職場づくりをどうやっていくかが最初の宿題だと感じました。そんな中、心理的安全性アンバサダーの体験会のお知らせを見て、今の自分に現在進行形で必要な学びだと感じたんです。職場づくりをする上で、何か取っ掛かりになるものが得られるかもしれないと思い、申し込みました。

先生同士の横の繋がりを強めていくことに課題感を感じておられたんですね。

そうですね。職員室の雰囲気と教室の雰囲気は対比されることがあります。教室の雰囲気が良い時というのは、子どもたち同士の横の繋がりが生まれている状態なんです。様々な物事にも、みんなで取り組もうとする関係性ができています。
しかし担任の先生と子どもたちが縦で繋がっているだけでは、みんなで一緒に何かに取り組むのが難しい場合があります。
職員室も同じで、現場の先生同士の関係性が築けていると、職員室の中での協働が生まれていきます。学年を問わず相談できるようになったり、行事もみんなで盛り上げて行こうという進め方になるんです。安心・安全な職場づくりをする面でも、このワークショップを受講して良かったと思っています。

あおのりが必要とされていた情報だったんですね。先生同士の関係性を築くためには心理的安全性は欠かせない要素だと思います。
ワークショップを受講された中で、印象に残ったことについて、お聞きしても良いですか?

全6回とも安心して参加できました。「ここでは自分を出せるんだ」、「恥ずかしい思いをしなくて良い場所なんだ」という安心感がいつもありました。その前提を作ってから、その日の学びに入っていくという流れがあったように感じます。
この構図は授業や校内の研修でも同じで、否定しないし否定されないという安心な空気を作ることが、改めて大事だと思いました。

どんな職場でも「この場では受け入れてもらえる」という前提があることは大切なことですね。
先ほどもコミュニケーションにおける実践について、お聞きしましたが、他にもあおのりがワークショップで学んだ内容を活用した場面、もしくは活用していきたい場面について教えていただけますか?

ワークショップではペアになって物語を作っていくワークを体験しましたが、同じように授業の中でも物語を即興でつくる、表現遊びを行っています。演劇的な手法で心理的安全性を体感してほしいと思っているんです。
インプロでは相手のアイディアに Yes, And して話を膨らませていきますが、それは心理的安全性がないとできない活動です。来年度は他の先生たちと一緒に、授業の中でインプロ的な表現遊びを年間を通して実施できたらと考えています。

表現遊びですか!?興味深いですね!子どもたちの無限に湧いてくる発想力を引き出せると思います。この表現遊びは具体的にどんなことをされたんでしょうか?

フォークとスプーンになるワークをやってみました。相手がフォークとスプーンのどちらを演じるか観察するので、相手をよく見るようになるんです。他には、シチュエーションを設定して、それぞれの役を演じたり、テーマを決めて5分ぐらいの即興劇を行いました。段階を踏んで少しずつ場に慣れることで、最終的には5分では終わらないぐらい盛り上がっていました(笑)。
最初は乗り気になれなかった子たちが徐々に心を開いて、最後は舞台で思いきり演じていたり、恥ずかしくてしゃべれない子もいますが、セリフを言わなくても自分なりの登場人物で存在感を示しています。
子どもたちが少しずつ心と体を開いていく変化を見ることができました。それができたのも、「この場は自分を表現しても良いんだ」という安心感が生まれたからなんだと思います。

それは盛り上がると思います。自然と心理的安全性を体感できますね。子どものうちから自分を表現することを学べる機会があるのは、素晴らしいことだと感じました。
あおのりは心理的安全性アンバサダーのワークショップを受講されて、どんな方にこのワークショップをおすすめしたいと思われますか?

学校の先生におすすめですね。先生はほとんどの時間を子どもたちと一緒に過ごすので、ワークショップで学んだ心理的安全性の考え方は必要なことだと思います。
インプロのワークを知るというより、ワークを通して得られる感覚を体感してほしいと思います。先生はワークをすることはありますが、子どもたちがどう感じるかは実際に体験してみないと分からないものです。
このワークショップでは認めてもらえる感覚や安心する感覚を改めて知ることができます。キャリアの浅い先生もですが、ベテランの先生にも知ってほしい感覚だと思います。

心理的安全性は相手と関係性を築く上で土台となる部分ですよね。この感覚を体感することで周りにも良い影響を与えることができると思います。
あおのりが周囲を巻き込んで、先生方や子どもたちとの関係性を変化させていく様子について知ることができました。
あおのり、お話を聞かせていただき、ありがとうございました。 

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