日本即興コメディ協会のブログ

再犯率60%超を3%未満へ。実話映画『SING SING』に学ぶ、人の変化をサポートする「インプロ」の力

こんにちは!

今回は映画の話をきっかけにして、ちょっと面白いテーマについて書いてみたいと思います。

みなさんは「自分を変えたいな」って思うこと、ありますでしょうか。

もっとコミュ力を上げたいとか、人前で堂々と話せるようになりたいとかですね。

自分を変えるための「足し算の努力」に疲れていませんか?

世の中の自己啓発本とかビジネス書を見ると、だいたいは「新しいスキルを身につけよう」と書いてあります。「弱みを受け入れて克服しよう」みたいなアドバイスもすごくよく見かけますよね。

もちろん、それ自体は素晴らしい考え方ですし、努力するのも素敵です。

でも、そう言われるとちょっとプレッシャーを感じてしまいませんか。「今のダメな自分に、何か新しい装備をまた足さないといけないのかな」と思ってしまいますよね。

まるで RPG で、初期装備の布の服を捨てて、強い鋼の鎧を買い集めなきゃいけないような感覚です。これって、地味に精神的なエネルギーを使いますし、シンプルに疲れちゃいます。

全米再犯率60%超を3%未満へ。実話映画『SING SING』の凄さ

そんなときにぜひ観てほしいのが、『SING SING(シンシン)』(2025)という映画なんです。サブスクでも観られるになってました。

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この映画をものすごくざっくりいうと「アメリカの刑務所で、受刑者たちが演劇をやって心が救われていく」というお話です。製作はアカデミー賞でもめちゃくちゃ高く評価されている A24 です。

主人公たちは、ニューヨークにある本物の最高警備刑務所にいる受刑者たちです。しかも驚くべきことに、出演している俳優の8割以上が、実際にその刑務所に入っていた元受刑者の方々なんです。

さらに映画の制作チームも面白くて、ハリウッドの有名俳優から裏方のスタッフまで、全員がまったく同じお給料をもらう仕組みで作られたそうです。

そして、この映画のモデルとなった取り組みは、実は単なる美談ではなく社会的に驚異的な実績を残しています。

全米の刑務所の平均再犯率が60%以上とされる中、RTAプログラム修了者の再犯率は3%未満という驚異的な成果を上げており、社会復帰への強固な足懸かりとなっています。

出典:Inside ‘Sing Sing’: How a Prison Arts Program Inspired Austin’s Latest Film Sensation, Austin Curated

変化をサポートする「応用インプロ」とは?

映画の中で彼らが取り組んでいるのが、「応用インプロ」と呼ばれる演劇の手法です。

専門用語っぽくて難しそうですが、ものすごくざっくりいうと「台本のない即興劇のトレーニング手法を、教育やセラピーに使う取り組み」のことです。映画の中にも登場しますが、数百種類あるといわれるコミュニケーション・ゲームを使って、ワークショップを教育、ビジネス、医療など様々な目的をもって実施します。ぜひ映画の中でインプロのゲームを探してみてください。

「弱さを見せても大丈夫な場所」をつくる

過酷な刑務所って、舐められたら終わりなので、みんな強そうな鎧をガチガチに着込んで生きています。でも、インプロの場だけは「弱さを見せても大丈夫な場所」(心理的安全性の高い場所)になるんですね。

自分とは全然違うキャラクターを演じてみることで、「あ、この人はこういう気持ちだったのかな」と他人の気持ちが想像できるようになります。カッとなったときに暴力で解決するのではなく、言葉でやり取りする力も自然と身につきます。

そして何より、「犯罪者」というレッテルを貼られていた人たちが、舞台の上では「一人のアーティスト」になれるわけです。

「演劇はお前を別の何かに変えるんじゃない」

作中で、ものすごく心に刺さるセリフがあります。

「演劇はお前を別の何かに変えるんじゃない。隠されていたお前の一部を明かしているだけだ」という言葉です。

これ、個人的にめちゃくちゃ大事な視点だなと思っています。

私たちはつい「自分をまったく別の素晴らしい誰かに変えなきゃ」と焦ってしまいがちです。でも本当は、そうじゃないのかもしれません。

すでに持っているけれど、日々の生活やストレスで心の奥底に隠れてしまった「本来の自分」を、そっと思い出してあげるだけでいいんじゃないでしょうか。

例えば、会社で怒られないようにビクビクして無口になっている人も、仲の良い友達と話すときはすごく面白い人だったりしますよね。それと同じで、私たちは普段、生き残るためにいろんな「鎧」を着て生活しているだけなんだと思います。

日常でできる「脱・鎧」のちょっとした実践法

とはいえ、いきなり映画のように演劇を始めるのは、現実的にはめちゃくちゃハードルが高いですよね。即興劇サークルに飛び込むのも、普通に怖すぎます。

なので、そこまで大げさなことをする必要はないと思っています。日常の中で「変化をサポートする練習」として、次のようなことを試してみてください。

  • 「あ、いま自分はちょっとカッコつけて鎧を着ているな」と気づく、意識を向けてみる
  • 「もし自分がめちゃくちゃ陽気な◯◯さん(憧れの人)だったら、このトラブルにどう反応するかな」と頭の中で置き換えてみる

ちょっとだけ「他人の着ぐるみを着てみる」ような感覚ですね。それだけでも、ガチガチに固まった視点がふわっと軽くなる気がします。

まとめ:今のままでも、あなたの引き出しはたくさんある

というわけで、今回は映画『SING SING』からインプロのお話を紹介してみました。

「今の自分に何かを足さなきゃ」と疲れてしまったときは、ぜひこの映画をのんびり観てみてください。

「あ、自分は今のままでも、引き出しはたくさん持っているかもな」と思えて、心がちょっとだけ軽くなるかもしれません。

何かの参考になればうれしいです。

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それでは、また!

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