日本即興コメディ協会のブログ

「せっかくAIを入れたのに会社がどんよりしている…」という職場で起きていること

こんにちは!
今回は、最近よく耳にする「DX」や「AI」の導入と、それに伴う組織の悩みについて、少し書いてみたいと思います。

効率化されたのに、なぜか元気がない職場

会社でデジタル化が進んで、作業時間は減って効率的になったはずなのに、幸せじゃない、なんだか職場の空気がどんよりしている。
新しい価値が生まれるわけでもなく、浮いた時間が「過剰な確認」や「修正指示や作業」に消えていってしまう。
そんな「静かな停滞」に、頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。

「せっかくAIを入れたのに、なんでうちの会社は楽にならないし、元気がないんだろう……」と不安になりますよね。わかります。私も新しいツールが入るたびに、どう使えばいいか分からない、違う仕事が増えてしまうなんてことがあります。

こういう時、よく言われるアドバイスがありますよね。
「AIが台頭する時代だからこそ、人間も使いこなすための『論理的スキル』を急いで身につけなければいけない!」というようなものです。
でも、本当にそうでしょうか。
こういうことを言われると、「また新しいスキルを覚えなきゃいけないのか……」と、ちょっと疲れてしまいませんか。

なぜDXやAIは「静かな停滞」を生むのか?

実は、DX推進が「静かな停滞」を引き起こしてしまうのには、大きく分けて3つの原因が潜んでいると考えています。

  • 1つ目は、「正解のコピペ化」です。
    生成AIが、もっともらしい最適解をすぐに出してくれますよね。すると、自分からリスクを冒して「こんな仮説はどうだろう?」と考える動機がなくなってしまうんです。例えば、今日の夕食を決める時、レシピサイトの1位をそのまま作るだけで、自分なりの隠し味を入れる冒険をしなくなる、みたいな感じでしょうか。
  • 2つ目は、「心理的安全性の欠如」です。
    心理的安全性というのは、ものすごくざっくりいうと「会社の中で何を言っても怒られない、安心できる雰囲気」という意味です。業務がどんどんデジタル化して冷たい感じになっているのに、組織の「失敗への許容度」が変わらないと、社員はより防衛的になってしまうのだと思います。
  • 3つ目は、「目的のアップデート不足」です。
    経営層が「労働時間を減らせ」としか言わないケースですね。空いた時間で、どんな新しい挑戦(リスク)をしていいのか、新しい評価の軸が示されていないから、みんな立ち止まってしまうのかもしれません。

AI時代に必要なのは、本当に「論理」だけなのでしょうか?

とはいえ、じゃあ私たちは何をすればいいの?という話ですよね。
私は、人間がこれから鍛えるべきなのは「論理」だけではないと考えています。

事実として、過去のデータから論理を組み立てて正確に処理するような領域では、人間がAIに勝つことはもはや難しいのではないでしょうか。
私たちが本当に鍛えるべきなのは、もっと別の力だと思います。
それは、予測不可能な状況で他の人と感情を共有し、正解のないものを創り出す、人間本来の「泥臭い即興力」かもしれません。

組織の熱量を取り戻す、3つのヒント

では、この停滞を打ち破るにはどうすればいいのでしょう。
個人的には、次の3つのアプローチが面白いのではないかと思っています。

  • 会議のルールを「AIの否定」から始めてみる
    AIが出した平均的で無難な回答をあえてベースにして、「これを捨てるなら、どんな面白い選択肢があるかな?」と問いかけてみるのです。そうすることで、AIには真似できない人間の「歪み」や「直感」が引き出せる気がします。
  • 減点主義から「打席数評価」へ変える
    独自のアイデアを試した行動そのものを評価する仕組みですね。「失敗しても、自分からバットを振ったこと」を称え合う文化を作れると素敵です。
  • 雑談や対話と「無駄」を意図的にデザインする
    合理的なテキストだけのやり取りだけでなく、感情が乗った対面での会話や、ちょっとした意見のぶつかり合いを、あえて復活させてみるのも良いと思います。要するに、もっと無駄を楽しもう、ということですね。

「予測のAI」と「即興の人間」

デジタル化の本当の目的は、人間の考える力を奪うことではないはずです。
人間が「意思決定」と「感情の共有」という、一番面白くてある意味贅沢な仕事に集中するためだと私は思っています。

ここで少し、機械(AI)と人間の役割の違いを整理してみますね。

要素機械・AI(予測の力)人間・インプロ(即興の力)
基盤過去の蓄積データ・アルゴリズム今、ここにある状況・環境
特徴予測可能・正確性予測不可能・自発性
プロセス最適化された計算感情・身体性を通じた摩擦
生み出すもの効率的で無難な「正解」驚きに満ちた「創造性と喜び」

機械やAIの力は「予測」です。
過去のデータやアルゴリズムを基盤にして、予測可能で正確な、効率的で無難な「正解」を生み出します。

一方で、人間の力は「即興」です。
今ここにある状況や環境を基盤にして、予測不可能で自発的な、感情や身体を通じた摩擦から、「驚きに満ちた創造性と喜び」を生み出します。

組織には、効率を担うAIの左輪と、人間臭い摩擦を生む即興力の右輪の、両方が不可欠なのではないでしょうか。

最強の生存戦略「Yes, And」とは

この人間らしい即興力を組織に取り入れる鍵が、「インプロ」の基本哲学にあります。
インプロというのは、ものすごくざっくりいうと、台本のない即興コメディや演劇のことです。
その中で大事にされているのがYes, Andという考え方です。
これは、相手の意見をまず受け止め(Yes)、そこに自分のアイデアを乗せる(And)というコミュニケーションの手法です。

Applied Improvisation Magazine 2023に、こんな言葉がありました。

As robots and another favourite AI (Artificial Intelligence) whisk us towards the Singularity (or not), perhaps we’ll discover that the principles and practices of improvisation are what remain to us as distinctively human. We’re talking creativity and collaboration; feelings and embodiment.

(ロボットや、もう一つの人気者であるAI(人工知能)が、私たちをシンギュラリティへと突き進ませる(あるいはそうではないかもしれない)中で、即興の原理と実践こそが、人間ならではの特質として私たちに残されるものだと気づく日が来るかもしれない。ここで言及しているのは、創造性と協働、そして感情と身体性のことだ。)

この言葉は、単なる精神論ではないような気がします。
あらゆる業務が自動化されていく未来で、失敗を恐れずに人と協力し、感情を使って新しいものを生み出す力。
それこそが、私たちを代替不可能な存在にしてくれるのではないでしょうか。

インプロを取り入れることは、静かな停滞に陥った組織が当事者性を取り戻すための、とても実践的な「生存戦略」になるはずです。

まずは「感情と身体」を動かしてみませんか?

というわけで、今日はAI時代の「静かな停滞」について考えてみました。
AIが完璧な正解を出してくれる時代だからこそ、私たちを救うのは、人間にしか出せない「予測不能な泥臭さ」なのかもしれません。
一人で黙々とスキルを磨く時代は終わり、これからは「関係性を耕す時代」に入っていくのだと思います。

ただ、この力は本を読んだり論理を学んだりして身につくものではありません。
まずは、明確な解決策を急ぐ前に、理屈を捨てて「感情と身体が動く」という体験をしてみるのも良いのではないでしょうか。

もし、今までの座学や正論ばかりの研修に限界を感じていたら。
私たちが開催している「無料相談&ミニ体験会」で、職場の空気が変わる瞬間を体験してみるのも、ひとつの選択肢としておすすめです。
少しでも、皆さんの心が軽くなるヒントになれば嬉しいです。

無料相談&ミニ体験会のご案内

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  • 対象となる方:組織のマンネリ化や静かな停滞に悩んでいる人事・教育・経営層の方です。
  • 内容:コミュニケーションを変化させるロジックを学んだり、「Yes, And」のワークを実際に体感したりします。
  • 参加方法:以下のリンクより、現在の組織の課題を簡単にご記入の上、お問い合わせください。

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※同業他社様のご参加はご遠慮いただく場合がございます。あらかじめご了承ください。

というわけで、まずは自分の心を少し軽くして、新しいアプローチを楽しんでみてはいかがでしょうか。
何かの参考になれば嬉しいです!

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