日本即興コメディ協会のブログ

CEO の 98% が「ユーモアのある人材」を選ぶ理由と明日から使える仕事術

こんにちは!

今回は「ビジネスにおけるユーモア」について書いてみたいと思います。

突然ですが、みなさんは仕事中に冗談を言ったりしていますか?

おそらく多くの人が「仕事は真面目にやるものだし、下手にふざけたら怒られそう」と思っている気がします。会議で急にウケを狙ってスベったら怖いですし、気まずい空気には耐えられないですよね。

でも、少し古いですがアメリカの調査に面白いデータがあるんです。

なんと、企業のトップであるCEOの98%が「採用するときはユーモアのセンスがある人がいい」と答えているんですね。ほぼ全員です。さらに、幹部の8割以上が「ユーモアがある社員は仕事もできる」と感じているそうです。※1

これを聞くと「えっ、ビジネスってそんなにお笑いスキルを求められるの?」と焦ってしまいますよね。でも安心してください。べつに職場で一発ギャグをやったり、面白い話を披露して爆笑をさらったりする必要はまったくないと思っています。むしろ、そういう「芸人さん的な面白さ」を目指すと事故が起きやすいです。

なぜビジネスの世界で「ユーモア」が重視されるのか?

では、なぜビジネスの世界でここまでユーモアが重視されているのでしょうか。その理由をいくつか紐解いていきましょう。

1. 心理的余裕を伝える「ステータス・シグナリング」

ちょっとだけ難しそうな言葉を使うと、ユーモアには「ステータス・シグナリング」という役割があります。これをものすごくざっくりいうと「私には今、余裕がありますよと周りに伝える合図」という意味です。

たとえば、難しいトラブルが起きたときに、顔を真っ赤にしてパニックになっている人より「まいったなあ、これは手強いですね」と少し笑って言える人のほうが頼もしく見えたりしますよね。人は、大変な状況でもクスッと笑える人を見ると、無意識に「この人は頭の回転が速くて、自信があるんだな」と感じるわけです。余裕があるように見えるのは、それだけで立派な能力なんですね。

2. 心理的安全性を生み出し、チームを活性化する

さらに、ユーモアはチームの空気にも大きな影響を与えます。

上司が上手にユーモアを取り入れているチームでは、部下のやる気が向上するだけでなく、離職率も低下するという研究結果があります。

職場でちょっとした笑いがあると、いわゆる「心理的安全性」が生まれます。これもざっくりいうと「ここでは変なことを言っても怒られないし、失敗しても大丈夫」と思える安心感のことです。

ピリピリした会議室だと、誰も新しいアイデアなんて言えませんよね。でも、誰かがクスッと笑えるようなことを言って場が和むと、みんなリラックスして本音を言えるようになります。

3. ピンチを前向きに捉え直す「認知転換」と交渉力

ピンチのときも同じです。ユーモアには「認知転換」という力があります。目の前のピンチを「恐ろしい脅威」として受け止めるのではなく、「攻略しがいのあるゲーム」に捉え直す力のことです。深刻になりすぎると脳が固まってしまいますが、少し笑うだけで「まあ、なんとかなるか」と前を向けるようになります。

実はこれ、社内だけでなく、社外との交渉やマーケティングでもものすごい威力を発揮するんです。海外の実験だと、交渉の最後にちょっと気の利いた冗談を言うだけで、相手から有利な条件を引き出せたそうです。警戒心が解けて、相手が味方になってくれるからですね。

「面白くなきゃいけない」という誤解と恐怖

でも、これを聞いて「よし、明日から職場で面白いことを言おう!」と思える人は、ほとんどいないんじゃないでしょうか。

「いやいや、会社は真面目に仕事をする場所だし、自分は芸人さんじゃないんだから無理だよ」と思ってしまうのが普通です。

特に日本の伝統的な企業だと「仕事中にふざけるな」と怒られそうな空気もあったりします。冗談を言ってスベったら恥ずかしいですし、下手に口を開いてハラスメント扱いされたらたまりません。そう考えると、黙って真面目な顔をしておくのが一番安全な気がしてきます。

これ、めちゃくちゃよく分かります。会社でいきなり面白いことを言えと言われても、プレッシャーしかありませんよね。

【注意】失敗しないための「ビジネスユーモア」のルール

とはいえ、ここで絶対に気をつけておきたい大きな注意点があります。それは「ユーモアは使い方を間違えると、ただの嫌がらせになる」ということです。

当たり前のことですが、相手の生まれつきの属性や性別、国籍、見た目などをいじるのはユーモアではありません。誰かを攻撃したり、見下したりして笑いを取るのは、完全にアウトです。アメリカの企業などでは「不適切な冗談を聞いて、一緒に笑ったり黙って見過ごしたりするのも同罪」と見なされるくらい厳格にルールが決まっていたりします。

誰かを犠牲にして作る笑いは、組織を簡単に壊してしまいます。職場で使うべきなのは「誰かを落とす笑い」ではなく「場を軽くするための笑い」です。ここを勘違いしてしまうと、一発で信頼を失ってしまうので本当に気をつけたいところです。

まとめ:明日からできる「深刻になりすぎない勇気」

それでは、私たちが明日からやるべきことは何でしょうか。

結論から言うと「ちょっと肩の力を抜いて、余白を作る」だけで十分だと思っています。面白いことを言おうと気負う必要はまったくありません。

「今日めちゃくちゃ寒いですね、キーボード打つ指が凍りそうです」とか、その程度でいいんです。深刻になりそうな会議で「まあ、落ち着いてコーヒーでも飲みましょうか」と言えること。それだけで、周りの人の緊張はふっと解けます。

ビジネスで本当に求められているユーモアは、人を笑わせるテクニックではなくて「深刻になりすぎない勇気」なのかもしれません。

真面目な人ほど、仕事でうまくいかないと自分を追い詰めてしまいがちです。でも、大変なときこそ「まあ、これも後でいいネタになるかな」くらいの軽さを持ってみると、仕事がぐっとやりやすくなる気がしています。

無理に面白い人になろうとせず、まずは自分自身の肩の力を抜くことから試してみてください。

当協会ではどなたでもユーモア・スキルを磨くことのできる講座を開催しています。気軽にご参加ください。


※1. ユーモアと仕事のパフォーマンス {出典:Hodge-Cronin and Associates(1986)、Robert Half(2017)/ スタンフォード大学}

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