日本即興コメディ協会のブログ

【2025年版】部下の「エンゲージメント低下」に悩むリーダーへ。心理的安全性を育む「Yes, And」コミュニケーション術

その「エンゲージメント低下」、リーダーのコミュニケーションが原因かもしれません

  • 「最近、会議で部下からの意見がめっきり減った」
  • 「1on1で話を聞いても、当たり障りのない返事しか返ってこない」
  • 「指示は実行するが、自発的な行動が見られない」

もし、こうした「部下のエンゲージメント低下」や「静かな退職(Quiet Quitting)」の兆候にお悩みであれば、その根本原因は、リーダーであるあなたの「コミュニケーション」にあるかもしれません。

部下の意欲を削いでしまう最大の要因、それは「心理的安全性の欠如」です。

心理的安全性とは、「このチーム内では、どんな発言をしても拒絶されたり罰せられたりしない」と信じられる状態を指します。この安心感が失われた職場では、部下は「どうせ言っても無駄だ」「否定されるのが怖い」と感じ、次第に口を閉ざし、エンゲージメントを失っていくのです。

心理的安全性研究の第一人者、エイミー・エドモンドソン教授は、心理的安全性を育む鍵として「サーバント・リーダーシップ」や「リーダーのコーチング」を挙げています。

しかし、これらを明日から完璧に実践するのは容易ではありません。

では、どうすれば心理的安全性を高めることができるのでしょうか。

今、変化の激しいビジネス環境において最も有効なスキルの一つが、インプロ(即興コメディ・演劇)の世界から生まれた「Yes, And(イエス・アンド)」というコミュニケーション術です。今回は、部下のエンゲージメントを劇的に改善する「Yes, And」の本質と、明日から実践できる具体的な方法を解説していきます。

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なぜ「Yes, And」が心理的安全性を生み出すのか?

「Yes, And」は、インプロ(即興コメディ・演劇)の世界で最も重要視される「ゴールデンルール(黄金律)」です。台本が一切ない舞台上で、複数の演者が協力して一つのストーリーを創り上げるために生まれました。

この「ゼロから共創する」プロセスは、多様なメンバーと協力して新しい価値を生み出す、現代のチームビルディングと本質的に同じ構造を持っています。

「Yes, And」は、非常にシンプルな2つのステップで構成されています。

Yes(肯定・受容):

まず、相手のアイデア、意見、感情を全面的に受け止めます。このとき、自分の考えと違っていても、評価や判断を挟みません。これは「あなたの存在と発言を認めます」という強力なメッセージとなり、心理的安全性の土台そのものを築きます。

And(付加・貢献):

次に、受け止めた相手の意見に、自分のアイデアや意見を「付け加えて」返します。相手の意見を土台としながら、会話をさらに前に進め、より良いものへと「共創」していく姿勢を示すのです。

意欲を奪う「Yes, But」と、未来を創る「Yes, And」

「Yes, And」の絶大な効果は、私たちが無意識に使いがちな「Yes, But…(はい、でも…)」という応答と比較すると明確です。

NG例:「Yes, But (いいね、でも…)」が意欲を奪う

部下:「新しい顧客管理ツールAを導入しませんか?業務が効率化すると思います」

リーダー:「なるほど、いいね。でも(But)、あれはコストが高いし、今のやり方でも回っているよね」

リーダーは「いいね」と一度受け止めたつもりでも、「But」の後に続く言葉(否定、懸念、反論)が、部下のアイデアを実質的に「No」と拒絶してしまいます。

これを繰り返された部下は、「どうせ反論される」「自分の意見には価値がない」と感じ、やがて提案すること自体を諦めてしまいます。これこそが、エンゲージメント低下の正体です。

OK例:「Yes, And (いいね、そして…)」が共創を生む

部下:「新しい顧客管理ツールAを導入しませんか?業務が効率化すると思います」

リーダー:「なるほど、いいね!そして(And)、そのツールで具体的にどの業務がどれくらい効率化できそうか、一緒に考えてみようか」

この場合、リーダーは部下の「効率化したい」という前向きな意図を「Yes」で確かに受け止めています。その上で、「And」を用いて「具体的に検討する」という次のステップへ、会話を発展させています。

たとえ最終的にツールAを導入しない結論になったとしても、部下は「自分の意見が真剣に受け止められた」と感じるため、次の提案への意欲(エンゲージメント)を失うことはありません。

リーダーが明日から実践する「Yes, And」3つのステップ

「Yes, And」は、優秀なリーダーであるほど「自分の答え」を先に言いたくなるため、実践が難しいと感じるかもしれません。しかし、これは意識的な訓練によって習得できる「技術」です。明日からの1on1や会議で、以下の3ステップをぜひ意識してみてください。

ステップ1:自分の「答え」を脇に置く

部下が話し始めた瞬間、私たちは「それは違う」「結論はこうだ」と頭の中で評価(ジャッジ)しがちです。まずはその「自分の答え」をグッとこらえ、意識的に脇に置いてください。

ステップ2:「Yes」で受け止める(「同意」ではなく「受容」)

相手の話を遮らず、最後まで聞きます。そして、第一声として「Yes」で受け止めます。

ここで重要なのは、「Yes」が「賛成(Agree)」ではなく「受容(Accept)」を意味する点です。相手の意見に賛成できなくても、「あなたがそう考えている事実は、確かに受け止めました」というサインとして「Yes」の言葉を使います。

  • 「なるほど、そう考えているんだね」
  • 「教えてくれてありがとう」
  • 「(自分にはなかった)面白い視点だね」

これらもすべて「Yes」のバリエーションです。

ステップ3:「And」で未来につなげる(質問・提案)

受け止めたボールを、決して落としたり(無視)、投げ返したり(否定)せず、「And」の意識で未来につながるパスを出します。

  • 自分の意見を加える (And):
    • 「その視点は大事だね。加えて、私は〇〇という点も考慮すべきだと思うんだ」
  • 質問で返す (And):
    • 「いいね。さらに、それを実現する上で課題になりそうなことは何かな?」
    • 「なるほど。では、どうすればその課題をクリアできると思う?」

この「Yes, And」のキャッチボールが繰り返されることで、チーム内の対話は活性化し、心理的安全性が劇的に改善していきます。

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「Yes, And」が組織にもたらす未来

リーダーが「Yes, And」を実践し、それがチーム全体に浸透すると、組織は「学習する組織」へと変貌していきます。

部下のエンゲージメントが向上する

自分の意見が尊重され、チームの成功に自分も関わっているという実感(当事者意識)が生まれます。

イノベーションが加速する

失敗を恐れずに多様な意見が飛び交うようになります。それらの意見が「And」で組み合わさることで、一人では思いもよらなかった革新的なアイデアが生まれます。

変化に強いチームになる

予測不可能な現代において、リーダー一人の「答え」に依存するチームは脆いものです。「Yes, And」の文化は、チーム全員で課題を受け入れ、乗り越えていく「しなやかな強さ」を組織にもたらします。

まとめ:エンゲージメント低下の悩みは、「Yes, And」で解決できる

部下のエンゲージメント低下に悩むリーダーが今すぐできること。それは、部下を「評価」する姿勢をやめ、「Yes, And」によって彼らの内なる能力を引き出すことです。

「Yes, But」で部下の意欲を減らすリーダーから、「Yes, And」で部下の可能性を広げるリーダーへ。

あなたのその小さなコミュニケーションの変化が、チームの心理的安全性を劇的に改善し、部下のエンゲージメントを再び燃え上がらせる、確かな最初の一歩となります。

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