日本即興コメディ協会のブログ

D&I が「形だけ」で終わってしまうのはなぜ?〜『Yes, And』の思考法で会社の空気を変える

こんにちは。

今回は、「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」について、ちょっと考えてみたいと思います。

ダイバーシティ&インクルージョン。いろんな会社さんが「うちも推進します!」って旗を振っていますよね。女性の管理職を増やしたり、いろんな国籍の人を採用したり。これ自体は、ものすごく素晴らしいことだと思うんです。

でも、その一方で「制度はできたけど、現場の雰囲気は全然変わらないんだよなあ」とか、「いろんな人を採用したのはいいけど、結局みんな黙っちゃって意見が出ない…」みたいな声も、ちらほら聞こえてきたりしませんか?

せっかくの取り組みが、なんだか「形だけ」で終わっちゃってる感じ。

今日は、なんでそういう「もったいない」ことが起きちゃうんだろう?っていうのを、ゆるーく紐解いていけたらなと思います。

「ルール」を作っても「空気」は変わらない?

D&I って、よく「ダイバーシティ(多様性)」と「インクルージョン(包摂性)」の2つがセットだって言われますよね。

これをものすごくざっくりいうと、

  • ダイバーシティ:性別とか国籍とか、いろんな背景の人が「いる」状態のこと
  • インクルージョン:そのいろんな人たちが「安心して自分らしくいられて、意見も言える」状態のこと

みたいな感じです。

多くの会社がまず頑張るのは、前者である「いろんな人を集める」っていうダイバーシティの部分なんですよね。でも、本当に大事なのは、その後者の「インクルージョン」の方だったりします。

だって、せっかくユニークな経験を持った人が入社してきても、その人が「なんか、この会社って本当のこと言ったら怒られそうだな…」「目立ったら面倒なことになりそう…」ってビクビクしてたら、その人の良さって全く発揮されないじゃないですか。

それは、小学生が監督が怖くて、打たなくちゃとバッターボックスでガチガチに緊張してて、良いスイングができない、みたいな。もったいないですよね。

本当に必要なのは「心理的安全性」という土台

わかるんですよ。制度やルールを作るのって、一番わかりやすいし、「やりました!」って言いやすいですもんね。

でも、本当に大事なのって、そのもっと手前にある「会社の空気」みたいなものなんじゃないかなって思うんです。

そこで出てくるのが「心理的安全性」っていう言葉です。

またバズワードかよ!って感じかもしれないですが、これもざっくり言うと、「こんなこと言ったらバカにされるかな?」とか「失敗したら評価が下がるかも…」みたいな不安を感じずに、安心して発言したり、挑戦したりできる状態のことです。

Googleが「成果を出すチームには、これが絶対に必要だ」って言ったことで有名になった考え方ですね。

これって、まさにインクルージョンが機能するための「土台」そのものですよね。

いくら立派なオフィス環境やルールを用意しても、みんなが周りの顔色をうかがって黙っていたら、新しいアイデアなんて生まれるはずがないです。そりゃそうだ。

「とはいえ」どうやって「空気」を作るの?

「とはいえ、じゃあ明日から心理的安全性を高めましょう!」って言われても、「え、どうすれば…?」ってなりますよね。

上司が急に「今日からみんな、何でも正直に言っていいからな!」なんて言い出しても、逆に「なんか裏があるんじゃないか…?」って疑っちゃうのが人間だと思います(笑)。

僕はこれ、パソコンのOSのアップデートに似てるなあって思うんです。

新しいアプリ(D&I の制度)をたくさんインストールしても、OS(会社の文化)が古いままだと、うまく動かなかったり、すぐフリーズしたりするじゃないですか。

だから、D&I みたいな大きな変革をしようとする前に、まずやるべきことって、OS 自体を少しずつアップデートしていくこと、つまり、土壌を耕すような「フェーズ・ゼロ」が必要なんじゃないかなって思うんです。

そこで、すごく参考になる考え方があるんです。

会議の空気を変える『Yes, And』の魔法

インプロ(即興コメディ・演劇)の世界に、「Yes, And(イエス、アンド)」っていう、すごく素敵なルールがあるんですよ。

これは、相手の言ったことを「Yes(はい)」とまず肯定的に受け止めて、そこに「And(そして)」と自分のアイデアを付け加えていく、というコミュニケーションのやり方です。

つい「Yes, But(はい、でも…)」って言っちゃいがちじゃないですか。

Aさん:「この企画、もっと若者向けにポップな感じがいいんじゃないですか?」
Bさん:「はい(Yes)、でも(But)、うちの顧客層は年齢が高いから、そういうのは無理ですよ。」

こう言われると、Aさんは「あ、そっか…」ってなって、会話が終わっちゃいますよね。

これを「Yes, And」でやってみると、こうなります。

Aさん:「この企画、もっと若者向けにポップな感じがいいんじゃないですか?」
Bさん:「はい(Yes)、ポップな感じ、いいですね!そして(And)、その上で、うちの既存の顧客層にも響くように、大人っぽい上品さを少し加えるのはどうでしょう?」

どうでしょう。アイデアが否定されずに、むしろ膨らんで前に進んだ感じがしませんか?

いきなり「全員、本音で語り合え!」は難しくても、この「Yes, And」の精神をちょっと意識するだけでも、会議の空気ってだいぶ変わると思うんです。

誰かが何かを言ったら、まず心の中で「Yes」ってうなずいてみる。その上で「And」で何か付け加えられないかなって考えてみる。

こういう小さな心がけが、結果的にみんなが発言しやすい空気を作っていくんじゃないかなって思います。

まとめ

というわけで、今回はD&I が形骸化しがちな理由について考えてみました。

制度やルールを作るのはもちろん大事な一歩です。でも、それ以上に、みんなが安心して「ここにいていいんだ」「自分らしく発言していいんだ」って思えるような「空気」を作っていくこと。

それが、実は一番の近道なのかもしれませんね。

もし、今いる場所が「制度はあるけど、なんか息苦しいな…」と感じるなら、それは D&I の「ミッシングリンク」、つまり「心理的安全性」という大事なピースが、ポロっと抜け落ちているサインなのかもしれません。

まずは、誰かとの会話の中で、相手の言葉に「Yes, And」って心の中で返してみる。そんな小さな一歩が、意外と大きな変化につながっていくんじゃないかな、なんて思ったりします。

インプロ研修や Yes, And を応用した D&I 研修もご提供しています。もっと詳しく知りたい!と思ったら、気軽にお問い合わせくださいね。

それでは、また!


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