日本即興コメディ協会のブログ

なぜ西野朗監督は3ヶ月足らずでチームをまとめることができたのか?~上司が参考にすべきユーモアと超傾聴~

興奮が冷めやらない、呆然としてしまっている、そんな朝を迎えました。結果は残念でしたが、FIFA ランキング3位のベルギー相手に素晴らしい試合を戦ってくれました。サッカー日本代表の選手、スタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。

3ヶ月足らずでチームをまとめ上げた西野朗監督

さて、サッカー日本代表を率い、見事に下馬評を覆した西野朗監督ですが、どのようにして、就任から3ヶ月足らずと言う短期間でチームをまとめ上げたのでしょうか。

西野監督は、アトランタオリンピックでの「マイアミの奇跡」、ガンバ大阪を率いたクラブワールドカップ、Jリーグ通算最多勝利数などなど、名実共に申し分のない経歴です。

しかし、各国の名将と呼ばれる監督が苦労するのもワールドカップと言うもので、経歴だけで躍進できるものではありません。まして、西野監督にあたえられた期間は3ヶ月足らずと極端に短いものでした。

ここでは、協会らしく即興コメディの観点から西野監督の快進撃の秘密について考えてみたいと思います。

リスクに飛び込む

ハリルホジッチ監督の電撃的な解任劇から、新監督就任まで西野監督は、短期間に様々な決断を余儀なくされました。通常であれば、4年かけてじっくり作り上げていくものを3ヶ月足らずでやる。監督としてこれ以上のリスクはありません。もちろん、日本サッカー協会の技術委員長として、これまでの日本代表に対し忸怩たる思いがあったのかもしれません。

それにしても2年以上も監督業から離れており、ましてやマスコミ、サッカーファンからも見放されつつあったチームのオファーを受けるにはリスクが高いと考えるのが普通です。

即興コメディの世界でも台本のない舞台(先の見えない世界)に飛び込むことはリスクだらけです。しかし、仲間を信じ、リスクに飛び込むことで、初めてそのショーが成り立ちます。

本当のところは本人のみぞ知るところではありますが、どんなに困難と見えても選手やスタッフを信じ、まずリスクに飛び込んでみる、という姿勢が、選手の信頼を短期間で勝ち得ることができた理由の一つだったのかもしれません。

超傾聴

「西野さんのすごいところは人の意見を受け入れること。その強みと、現メンバー内に提言できる選手が多いことがマッチしている」。本田が西野監督の「耳を傾ける力」に感心したように述べたときがあった。
出典:「西野流「聴く力」結実適材適所、冴えた決断」日本経済新聞

いくつかの記事からも西野監督は独断で決めるタイプの指導者ではないようです。選手一人一人の意見を聴き、受け入れ、本人達の納得を引き出しているようです。傾聴と言うと、単にしっかり聴くだけと思われがちですが、納得を引き出すには、じっくり聞いた上で建設的な提案をしなければ前には進みません。

即興コメディの世界では、Yes, And という基本精神があります。これは、相手の提案を一旦肯定的に受け入れ、アイデアで返す、というものです。単純に「耳を傾ける」だけではなく、傾聴の結果として、相手の意見を取り入れる、また、自らのアイデアを重ねる、台本のない舞台上で、ストーリーを進めるために必須の共通認識です。

傾聴は短期間にチーム内での信頼を築き、一体感を生み、試合に出られない選手も含め納得を導き出します。記事等から漏れ聞こえてくる、あの本田選手から起用方法に対する納得を引き出していることには驚きます。

ユーモアを忘れない

西野監督はあまり多くを語らないようですが、記者会見では、お茶目な一面も見せます。翻訳機の使い方が何回使ってもわからないようで、隣の選手やスタッフに毎度つけてもらっていることが話題になりました。また、乾選手と大島選手に「5kg増量して、5cm身長を伸ばせという指令を出した」、と記者会見で面白いジョークを飛ばしています。

ユーモアは相手とのコミュニケーションをどう取りたいかの表明です。ユーモアにより「あなたとは、笑っても良い空間を共有したい」、と表明し、記者を味方につけ、時には答えにくい質問をかわすこともできます。

西野監督は、ここでも自ら(ある意味ユーモアという)リスクを取って、笑って良い空間の共有を伝えています。ここからも西野監督が目指すチームの雰囲気がわかるような気がします。

まとめ:多くの上司が真似すべき西野監督の人心掌握術

即興コメディというフィルターを通してサッカー日本代表のワールドカップロシア大会を振り返ると西野監督は、

  • 仲間を信じてリスクを取る
  • 超傾聴によってチームの納得を引き出す
  • ユーモアで目指すチームの雰囲気を示す

ことをしました。

初のベスト8以上という目標にはあと一歩届きはしませんでした。しかし、3ヶ月足らずで西野監督がロシアのピッチに残した爪痕は、日本の多くの上司が真似すべきエッセンスが多く詰まっているのではないでしょうか。


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