受講後インタビュー:カナダ・バンフ国立公園インタープリター 田中 康一さん

お話を伺うのは、カナダ・バンフ国立公園のインタープリターをされている「ロッキー」こと、田中 康一さんです。心理的安全性アンバサダー認定ワークショップの受講後インタビューに答えていただきました。

心理的安全性アンバサダーのワークショップを受講された感想を教えていただけますか?

「呼ばれた」と思いました(笑)。自分に必要な新たな学びの分野を知ることができました。しかもこれで終わりではなく、まだまだ終わらない勉強が始まったんだ、と思いました。心理的安全性は、これからも学び続けることの一つになりました。

「呼ばれた」というのはインパクトある言葉ですね。この言葉の背景について、もう少し詳しくお聞きしても良いでしょうか?

以前からコミュニケーションについて勉強していたんですが、2018年にコミュニケーションの見方がガラリと変わる出来事があったんです。今までコミュニケーションとは、スティーブ・ジョブズのように人を感動させるような話をすることだと思っていました。話すこと、伝えることが大事だと思っていたんです。
でもある時、手話の先生のお話を聞く機会があって、その先生が「手話は表情が9割」とおっしゃったんです。手話なのに、表情でコミュニケーションを取るということを知って驚きました。「えー!!」という表情だったり、体全体で話を聞くということなど、今まで考えたこともありませんでした。表情がコミュニケーションにおいて重要なものだと知って、その先生に表情によるコミュニケーションについて教えてもらうという出来事がありました。

ロッキーの中ではコミュニケーションは話し方だと思っていたのが、表情など言葉以外のもので表現されるということに驚きがあったんですね。

ワークショップを受講した時、言葉以外の方法でコミュニケーションを取ることは、インプロにもつながると感じました。インプロも相手に分かるように表情で伝えたり、それを読み取ったりしますよね。私が学んできたコミュニケーションとインプロの繋がりを感じた時、これは「呼ばれた」と思ったんです。

心理的安全性アンバサダーの内容は、ロッキーが長年学び続けて求めていたことだったんですね。それは確かに「呼ばれた」という感覚になると思います。
今回、ロッキーがこのワークショップを受講しようと思われたのは、こうしたコミュニケーションに対する課題感もきっかけになったのでしょうか?

そうですね。話が苦手というコンプレックスを破りたいという思いが一つ。もう一つは雨上がりの虹のような人になりたくて、受講したいと思ったんです。この気持ちを伝えるためにDay1では自己紹介で歌も歌いました!
虹を見ると、誰もが惹きつけられるし、心地良いと感じますよね。そんな人になりたいと思っているんです。

歌を歌う自己紹介は史上初ではないでしょうか(笑)。ロッキーは話が苦手という印象は全くないので意外でした。実際、ワークショップを受講されて印象に残ったことはありますか?

ヒーローインタビューのワークですね。インタビューはマニュアル通りに質問して、答えをもらう作業ではないということを知りました。相手の表情や返ってきた答えをみながら、相手の話を聞くということ、これがコミュニケーションなんだと思ったんです。2018年に衝撃を受けたこととの結び付きを感じた瞬間でもありました。
相手を観察して、相手がもっと話してくれるような質問を「今、この瞬間」に用意することの大切さをヒーローインタビューのワークから学びました。

相手に集中するというのは大事なポイントですよね。自分が話すことや次の質問に考えが奪われると、相手を見ないという現象が起きると思います。

傾聴と言いながらも、自分の話をどこで入れようか考えている時は本当の意味で相手に集中していないですよね。
相手が「前のめりになっているな」とか「これは望んでいない質問かもしれないな」とか。表情や姿勢など言葉に出ないものをしっかり観察しながら、相手に合わせて即興的に質問を変化させることが大事だと思いました。

相手を見て変化するというのは、まさにインプロ的ですね。ロッキーは、その瞬間瞬間の変化も楽しんでいるように感じます。
ロッキーがこのワークショップで学んだことを活用した場面についても教えていただけますか?

現在、週に3回工場で働いているんですが、そこにはいろんな国の方が働きに来られています。そこにモロッコ人の男性が新しく入って来られたんです。
正直、第一印象が悪くて…。私の目には偉そうな態度をとっているように見えました。しゃべらない上に人と関わろうとしないので、自分とは合わないと思っていたんです。
それに加えて、心理的安全性を学ぶ前の私は、自分の掲げた高い理想を他の人にも押し付けてしまうところがありました。言わば英語が通じても心が通じ合わない状態です。
相手に求めることが多くてイライラしてしまうこともありました。
ちょうどその時に心理的安全性について学び始めたので、視点を変えて見ようと思ったんです。

自分の理想だと分かっていても「これぐらいはして当然だろう」と相手に求めてしまうことが私にもあります。そんな自分の常識が通用しない人と一緒に働く中で、ロッキーはどのように視点を変えられたんですか?

まずモロッコ人の彼にどうやったらに近づけるだろうかを考えました。そのために物事を俯瞰して見るようにしました。「彼にも良いところはあるはずだ」という視点で彼の観察を始めたんです。
私は彼のことを人と関わろうとしない人だと思っていたんですが、実は英語が苦手で周囲とコミュニケーションが取りにくい、ということを知りました。
それによって自分もそう感じていたことがあったなぁ、と彼の立場になって考えることができました。

人と関わらないことの理由が分かったんですね。

そうなんです。他にも「長年働いている自分に対して、最近入ったばかりなのに態度が偉そう」という考えがあることに気が付きました。知らないうちに自分の中で上下関係を作っていたんですね。
ある時、通勤中に彼の姿を見たら、背筋がピンと伸びて姿勢がすごく良かったんです。「自分が偉そうと思っていただけで、彼はただ姿勢が良かっただけなんだ」と(笑)。
上下関係というフィルターを外したことで、彼に対する見方も変化していきました。

「姿勢が良かっただけ」だったとは(笑)。視点を変えたことでロッキーの中で大きな気付きが得られたんですね。その後、感じられた変化などはありましたか?

それから目が合ったらニコッと笑うようにしたんです。そして必ず名前を呼んで挨拶するようにしました。休憩中に彼の聞いている音楽を教えてもらったり。
それを続けていたら、彼の方から私の肩を叩いて笑顔で挨拶してくれるようになったんです。彼とは英語が通じなくても居心地の良い関係へと変わっていきました。
今までの自分では考えられないことですが、このワークショップで心理的安全性を学んだおかげで、自分自身も変わることができました。

ロッキーの笑顔が大活躍ですね。視点や関わり方が変化することで、ロッキーにも相手にも大きな変化が起きていったことが分かります。

そうですね。他にも一緒に仕事をする人がいるので、そうしたと方たちとの関係性を作るために名前を呼びかけて、挨拶することを意識して行っています。今では私が担当しているエリアは
「Area Koichi」と呼ばれて、いろんな方が「Area Koichi」で働きたいと言ってくれています。心理的安全性は普段の信頼の積み重ねなので、日々の声かけや関わり方が重要だと思っています。

それは嬉しい声ですね。ロッキーの普段の関わりによって心理的安全性が醸成されているんだと思います。
ロッキーは心理的安全性アンバサダーのワークショップを受講されて、どんな方にこのワークショップをおすすめしたいと思われますか?

コンプレックスを抱えていた自分でも変われたというのがあるので、自己肯定感が低いと感じている方に受講してもらうと良いのかな、と思います。私は変わるきっかけになるものをたくさん得ることができました。与えられた学びを、どう使うかは自分次第ですが、失敗しても良いので、どんどん試してみることが大切だと思います。

ロッキーにとって、このワークショップが変わるための大きなきっかけになっていることが分かります。
最後にロッキーから、これから心理的安全性アンバサダーのワークショップを受講される方にメッセージをお願いします。

コミュニケーションのヒントがいっぱい詰まっている場所です。とても濃い内容のものを、試行錯誤して作り上げてきてくれたので、それを使って自分をどう変えていくかが重要だと思います。
また自分一人では難しいことも、協力してくれる仲間がいます。同期のメンバーやすでに受講された方、たくさんの方と話をしていくことが良いと思います。私もこれから受講される方とお話しできるのを楽しみにしています。

いろんな場面に活用できるコミュニケーションのヒントが盛りだくさんですよね。これから受講される方との交流が生まれるのを私も楽しみにしたいと思います。
ロッキー、お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

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